環のうち, 通常通りに加法と乗法を定めた整数 のように乗法が可換である, すなわち掛け算の順序を のように入れ替えてもよい環を, 可換環という.

体は可換環であり, かつ乗法について を除くすべての元に逆元が存在する代数的構造である. 平たく言うなら, で割ること以外なら自由に足し算, 引き算, 掛け算, 割り算のできる構造のことである.

  1. 有理数 , 実数 , 複素数 の上に通常通りに加法, 乗法を定義した構造は体をなす.
  2. 剰余環 は乗法について可換なので可換環である. が素数 のとき, すなわち のとき, を除くすべての元の乗法に関する逆元が存在し, 体をなす. このことは, ベズーの補題から容易に証明できる.

証明 すべての であるような は素数 以外に公約数を持たず,

である.

ベズーの補題より, うまく整数 を選ぶことにより,

にできる. すなわち,

となる. このことは, を除くすべての の元に対して, 乗法に関する逆元 が存在することを意味している.

よって, は体をなす. ■

これまでに紹介した代数的構造は、下図の通りにまとめられます。

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