中国の剰余定理

RSA暗号を理解するためには、フェルマーの小定理を一般化したオイラーの定理を知っておく必要があります。そして、オイラーの定理を理解するためには、オイラーの 関数という関数を求められるようになる必要があって、これには中国の剰余定理が必要不可欠です。オイラーの定理への第一歩として、この節では中国の剰余定理を説明します。

定理 を互いに素な自然数として、 を整数とする。連立合同式

を満たす整数 を法として一意に存在する。

証明 まずは, そのような の存在を示す.

として,

が互いに素であるのだから、と互いに素なものを掛け合わせたものであって, やはりと互いに素となるので,

となる. ベズーの補題により, うまくを選ぶと,

にできる. これを変形して,

この は後述する拡張ユークリッドのアルゴリズムよって, 効率よく求めることができる.

こうして, が求まったら,

とおく. これは与えられた連立合同式を満たす. というのも,

であったから,

であるが, であるような については,

より,

となる.

したがって, 任意の について,

となり, 確かに連立合同式を満たす.

以上より, が存在することが示された.

次に, 解が一意であることを示す.

連立合同式の任意の解を とおく. (かもしれないし,そうでないかもしれない. 選び方は任意.) すると, 任意の について

なのだから,

である. は互い 素なのだから, これらの全てで が割り切れるということは, で割り切れることを意味する. (わかりにくければ, くらいの小さなケースで考えてみるとよい. たとえば, は互いに素であり, でもでも割り切れる数は で割り切れるずである.)

したがって,

すなわち,

であり, 解の一意性が示された ■

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