ベズーの補題
整数に対して, の倍数との倍数の足し算で表現できる全ての数の集合を と表す.
たとえば, は,
である. 実際, これらの数は下に示す通り, の倍数との倍数の足し算で表現できる.
これは, との最大公約数であるの倍数の集合 と等しそうである. この予想は正しいだろうか.
定理 任意の整数に対して, ある整数が存在して,
証明 とおく.
の正の最小の要素をとすると, 任意のについて, 整数の除法の一意性により
を満たすが一意に存在する.
は の要素なのだから, 適当な があって,
と表すことができる. ゆえに, 両辺の左から をかけることにより,
の両辺の左から を加えることによって,
この左辺は, および より,いずれも, のように表せるのだから,
その和もまた のように表せる. ゆえに,
であり, したがって,
である.
を仮定すると, の最小性の仮定に矛盾するため, である.
以上より, 任意の は,
このことは, すべての に対して,
であることを意味している.
であるから, かつ すなわち は の公約数であり, すべての公約数は最大公約数の約数であるから,
ところで, より, あるがあって, と表せるのであった.
公約数の定義から, かつ なのだから,
ゆえに,
が得られ, このことから,
よって,
逆に, であれば である.
というのも, は の要素なのだから, うまくを選べば とすることができる. ゆえに であれば, あるがあって
以上より,
であれば であり, かつ, であれば である.
したがって, である.
換言すると, に属する数の中には, 必ず と等しいものが存在する.
このことは, 任意の に対して, うまく を選ぶことで, にできることを意味している ■